ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション

ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション
  • ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション

    ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション

    キングレコード

    2018年|アメリカ

    • 字
    • HD
    • PG12

    70年代末に日本でも大ヒットした女性5人組バンド、ザ・ランナウェイズの中心メンバーであり、解散後は<ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ>としてソロ活動を続け、「アイ・ラヴ・ロックンロール」がビルボードチャート7週連続1位を獲得、2015年にはロックの殿堂入りを果たした、女性ギタリストでありロックンロールの象徴ともいわれるジョーン・ジェット。その幼少期から現代まで、約半世紀にわたる半生を95分間で描き切るドキュメンタリー映画が『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』。ロサンゼルスの変態プロデューサー、キム・フォウリーに発掘され、ビートルズ並みの熱狂で迎えられた来日公演、そして日本メディアがきっかけとなった解散の顛末など、ザ・ランナウェイズの歴史も描きつつ、完全なる男社会だった米国音楽業界で女性であるがゆえに経験してきた苦悩と、ソロ活動以降のバンドメンバーであり盟友のケニー・ラグーナ(THE BLACKHEARTS)とのレーベル運営など、厳しい音楽業界のなかで<純粋にロックンロールを演奏し続ける>ことでもがいてきたジョーン・ジェットの姿が炙り出されていく。出演には本人のほか、サンディ・ウェストとシェリー・カーリー(ザ・ランナウェイズ)、イギ―・ポップ、ドン・ボールズ(ジャームス)、ビリー・ジョー・アームストロング(グリーン・デイ)、アダム・ホロヴィッツ(ビースティ・ボーイズ)、キャスリーン・ハンナ(ビキニ・キル)、イアン・マッケイ(フガジ)、ピート・タウンゼンド(ザ・フー)、マイリー・サイラス、アリソン・モシャ―ト(ザ・キルズ)、マイケル・J・フォックス、クリステン・スチュワート(映画『ランナウェイズ』でジョーン・ジェット役を演じた)等、錚々たる面々。パンク・ロック界からの出演が多いのはジョーン・ジェットがアメリカン・パンク、アメリカン・ハードコアの歴史上最重要作ともいえるGERMSの名盤『(GI)』のプロデューサーであるがゆえ。またオハイオ州出身のバンド、ギッツの女性ボーカル、ミア・サパタが93年に強姦され殺害された事件においてはジョーン・ジェットが残されたメンバーとアルバムをリリース、印税を全額捜査の資金に寄付し、11年後の2004年に犯人逮捕にこぎつけたエピソードも綴られている。半世紀にわたって逆境と戦い、自身の純粋な目的を成し遂げるべく生きてきた一人のミュージシャンの生き様を追った本作は、どんな状況に陥っても自分が賛同できない世界に迎合せずに突き進むことの重要性と美しさを提示する。ジョーン・ジェットの<ギターを弾きたい>という純粋さと直向きさは、観る者の心に大事な何かを残してくれるに違いない。

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